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つくば市、「ナッジ」を活用した対策で手指の消毒実施率アップ 「声かけ」で7.5倍に

事例紹介

2020/6/22

茨城県つくば市は6月10日、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、来庁者の消毒実施率を上げるために、人々の自発的な行動を促す「ナッジ」理論に基づく実験を行った結果、「消毒液の設置場所の変更」と「声かけ」により、手指の消毒実施率が大幅に向上したと発表した。

消毒実施率は、設置場所を変えただけで4.7倍になり、警備員の声かけで7.5倍となった。具体的には、消毒液を風除室に変更して設置(通行の邪魔にならない程度、来庁者の動線にかかるよう設置)したところ、10.5%から49.5%に、また、玄関付近に常駐する警備員が「消毒をお願いします。消毒はあちらです」と声かけを実施したところ、10.5%から78.5%に向上した。

つくば市では、効果が確認された、警備員による声かけと風除室設置による、消毒実施率向上に向けた取組みを5月25日から実施中。今後、出先機関でも応用する予定。消毒液は、「ちょっと邪魔」くらいの場所に置くと効果的だが、車椅子の人の動線や点字ブロックには配慮が必要とアドバイスしている。

なお、消毒実施率は、入庁者が200人になるまで消毒実施者数を計測し、消毒実施者数÷200人で算出した(以下同)。

先行例では消毒液の方向を示した「矢印」で改善

ナッジ(nudge:そっと後押しする)とは、行動科学の知見の活用により「人々が自分自身にとってより良い選択を自発的に取れるように手助けする政策手法」をいう。感染症対策においても、ナッジを活用した取組みが始まっている。先行例では、京都府宇治市の施設等の出入口に消毒液を設置し、消毒液の方向を床に「黄色の矢印」で示したところ、消毒率が9.7%改善(単純前後比較)したことが報告されている。宇治市を参考に、この方法は他自治体でも導入されている。

また、環境省は5月1日~6月1日まで、新型コロナウイルス感染症対策に、ナッジを活用して、市民の自発的な行動変容を促す取組みの募集を行った。つくば市は、今回の取組みで、この事業に応募している。この実験の概要は以下の通り。

「経費ゼロ+消毒率の向上」のモデルを検討

つくば市の実験では、入庁時にウイルスを持ちこまない・退庁時に持ち帰らないために、手指の消毒実施率等をあげることを目的に、ナッジによる介入方法を検証した。また、「経費ゼロ+消毒率の向上」が示すことができれば、公共交通・公共施設・スーパー・飲食店等でも積極的に導入でき、市内での感染を最小限にとどめることできると考えた。

この取組みでは、まず、現状把握を行い、来庁者の性質(急いでいる人・急いでいない人)ごとに行動ツールを考え、介入方法を検討し、2回の実験を行った。

第1回実験では「矢印」「ポスター」の有無で調査

第1回実験では、「消毒の方向に矢印」、「庁舎入り口に消毒方法ポスター(A2サイズ)を設置」の2種類の介入方法について調査した。消毒実施率を算出し、介入前後(介入の有無)を比較した。結果は次の通り。

矢印 ポスター 消毒実施者数 消毒実施率
統制群 なし なし 29人 14.5%
介入群1 なし あり 22人 11.0%
介入群2 あり なし 29人 14.5%
介入群3 あり あり 37人 18.5%
介入群1・介入群3

しかし、統制群と介入群の2群を比較(優位水準5%の片側検定)したところ、統計学的な有意差はなく、期待していたほど効果がなかった。一方、観察でわかった消毒をしない人(スーツ・作業着の人、外国人など)を対象としたナッジ(単純化・社会的承認・情報提供)を行うと、消毒実施率が向上するのではないと考えた。

設置場所とチラシの単純化、声がけを追加

第2回実験の介入方法と実践方法

第2回実験の介入方法と実践方法

第1回実験の改善点を導入した上で、第2回実験を実施した。具体的には、(1)設置場所を風除室に(より入り口に近く)、(2)チラシの単純化を強化。消毒の2文字(赤)に、(3)警備員が声かけ、の介入方法を加えた(図参照)。結果は以下の通り。

矢印 ポスター チラシの種類 その他 消毒実施者数 実施率第2回
統制群 なし なし 方法 21 10.5%
介入群1 なし あり 方法 24 12.0%
介入群2 あり なし 方法 25 12.5%
介入群3 あり あり 方法 37 18.5%
介入群4 なし あり 消毒 27 13.5%
介入群5 あり あり 方法 声かけ 157 78.5%
介入群6 あり あり 消毒 44 22.0%
介入群7 なし なし 方法 風除室 99 49.5%

※ 赤字の介入群に効果が認められた。

一番消毒実施率が高かったのは「警備員による声かけ(介入群5)」で78.5%だった。また、来庁者の動線を考慮し、「消毒台を風除室に設置(介入群7)」すると効果があり49.5%にアップした。どちらも統計学的に有意差が認められた。消毒をしなかった、スーツ・作業着の人、外国人も消毒をするようになったという。また、何もない場合と比べて、矢印・ポスターがあった方(介入郡3・6)が消毒実施率は高かった。これも統計学的に有意差が認められた。

事例紹介

2020/6/22

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