東京都は5月13日、新型コロナウイルス感染防止対策として、医療機関等へ提供するため、地方自治法の規定に基づき、知事の専決処分により、マスクと個人防護具等の買い入れを行ったと発表した。
東京都では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、医療機関・社会福祉施設等でのマスク調達や、医療機関等での個人防護具等の調達に支障が生じている。こうした状況を踏まえ、都が緊急的に調達を行い、医療機関等へ提供する必要があったが、議会を招集する時間的余裕がなかったため、地方自治法(第179条第1項)の規定に基づく買入れを専決処分した。
また、契約件名・数量・契約の相手方についても下記の通り、公表した。
契約件名 | 数量 | 契約の相手方 |
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新型コロナウイルス感染拡大防止に係るマスクの買入れ(その1) | 3,200万枚 | サンオクス |
新型コロナウイルス感染拡大防止に係るマスクの買入れ(その2) | 3,200万枚 | ムロオシステムズ |
個人防護具(ガウン等セット)の買入れ | 80万セット | 日本船舶薬品 |
ゴーグルの買入れ | 39万個 | 日本船舶薬品 |
フェイスシールドの買入れ | 118万個 | 帝商 |
インナー手袋(天然ゴム製)外3点の買入れ | インナー手袋(天然ゴム製)104万双 | 新成物産 |
インナー手袋(合成ゴム製) 56万双 | ||
アウター手袋(天然ゴム製)104万双 | ||
アウター手袋(合成ゴム製) 56万双 |
契約先は、不織布や紙などの繊維製品を扱う日韓専門商社や、消防・防災用品を扱う商社、医療品などの輸入販売を行う会社などだ。
大阪市は防護服の不足で雨合羽の寄附を呼びかけ
大阪府大阪市の松井一郎市長は4月14日、医療現場では防護服の不足に伴い、雨合羽を代用して従事していることを受け、自宅等で不要となった雨合羽の提供を呼びかけた。これに対して、30万着を超える雨合羽の寄附や申し出があり、当面の必要数を確保できることになったため、4月17日で、寄附の受付をいったん締め切った。
このほか、山梨県山梨市は、4月27日~5月15日、市民や事業所などの手作りマスクを1枚150円で買取り、4,000枚を目標に、福祉施設等に配布するプロジェクトを実施した。
宮崎県などは緊急経済対策予算を専決処分
東京都は、専決処分で必要な物品を購入したが、専決処分で新型コロナウイルス感染症対策のための補正予算を措置する動きも広がっている。
宮崎県は5月15日、新型コロナウイルス感染症対策として、8億円の緊急経済対策予算を専決処分したと発表した。5月連休後の状況変化に的確かつ機動的に対応するため、6月の補正予算を待たず、専決処分により予算を編成することとし、飲食店等へ感染症対策に必要な経費を補助する費用や、飲食店を応援するため、プレミアム付テイクアウト食事券を発行する費用を計上した。
なお、「専決処分」とは、本来は、地方公共団体の地方議会が議決・決定すべき事項を、一定の場合に限り、地方公共団体の長が議会に代わって処理することをいう。専決処分の種類には、(1)地方自治法179条に基づく、特に緊急を要するため、議会を招集する時間的余裕がないとき等の専決処分と、(2)地方自治法180条に基づく「軽易な事項で、議会の議決により特に指定したもの」についての専決処分がある。